佐々木正美先生著「子育てでいちばん大切なこと」(大和書房:2008年10月)の読書レビューです。
たまたま図書館で見かけて手に取った本なのですが、結構良かったです。
具体的な質問に対しての、佐々木正美先生からの回答・解説という形式で書かれています。
全部で36の質問と答えが載っていました。
私の気に入ったポイントをお伝えしますので、気になる方は是非読んでみてください。
著者 佐々木正美先生について
佐々木正美先生は児童精神科医で、30年以上にわたって保育園、幼稚園、児童相談所等で親や保育士の相談や勉強会に携わり、子どもたちの現場をもっともよく知る精神科医として信頼されている先生です。
他の著書に、「子どもへのまなざし」「かわいがり子育て」「育てたように子は育つ」があるそうです。
「子育てでいちばん大切なこと」とは
自分のことを好きな子どもに育てることです。
「自分っていいな」と思いながら
毎日を生きている子どもは、
それだけで幸せです。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」140ページより
この本でいちばん大切な著者のメッセージは、ここにあると思います。
自分自身のことを好きになれるように育てる。
この本では出てこない単語ですが、自己肯定感の高い子どもに育てるということ、ですよね。
私の育児バイブルの「子育てハッピーアドバイス」でも、一番大切なことは「自己肯定感である」と書かれていました。
自己肯定感については、以前「子育てでいちばん大切なのは自己肯定感を育むこと」で取り上げています。
「親が一生懸命にやってはいけないこと」についての教え
育児をするうえで、ついつい親が一生懸命になってしまうことについて、一生懸命にやってはいけない、と明記されていました。
トイレトレーニングは一生懸命にやってはいけない
子育てには、お母さんが一生懸命にやってはいけないことがあります。
トイレトレーニングはその代表です。
必死になってトイレトレーニングをするのはよいことではありません。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」25ページより
これは、今現在トイレトレーニングが終わらない息子を持つ身として、必死になって子どもを追い詰めるようなことをしてはいけないと、改めて認識しました。
ついつい、必死になっている方が多いのではないでしょうか。
私も焦ってはいけないと日々自分に言い聞かせながらトイレトレーニングを続けているのですが、強い言い方をして子どもを急かしていないか、より注意するようになりました。
神経質なトイレトレーニングをされると、トイレそのものに対する拒否感が生まれて、トレーニングを難しくします。
上手におしっこができたらたくさんほめるだけで、ちゃんとオムツははずれます。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」26ページより
ということですので、皆さんあせらずに子どものペースでトイレトレーニングをやりましょう!!!
偏食を直そうとするのは一生懸命やってはいけないことのひとつです。
栄養の専門家ではありませんから、こんなことを言う資格はないかもしれません。
でも、「これを食べないとダメ」ということはひとつもないと思っています。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」37ページより
しかし、先生は3人のお子さんがいて、一人が生野菜の苦手だったそうですが、健康には全く問題がなかった、と書かれています。
それよりも、家族みんなで食卓に着き、子どもの好きなものをつくってあげることが大事とおっしゃっています。
好きなものを作ってもらえると、
子どもは自分を大切にされているんだ
と感じます。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」38ページより
つい栄養のことを考えて子どもの嗜好を無視してしまいがちですが、子どもの好きなものを何度でも作ろうと思いました。
偏食を直そうとするのは
一生懸命やっては
いけないことのひとつです。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」39ページより
食べたくないものは仕方がないと思えるようになりました。
でも全く食卓に出さないのではなく、食べてほしいものは用意して、子どもに食べるか食べないかを選んでもらうようにしています。
「トイレトレーニングは一生懸命やってはいけない」「偏食を直そうとするのは一生意見名やってはいけない」の2つだけでも、この本を読んで良かった!と思いました。
子どもの気持ちが書いてある
子どもは「みんなといっしょ」が好き
みんながもっているゲームを子どもが欲しがるけれど、持たせたくない」という親からの質問に対して、佐々木正美先生は「ゲーム機なんて怖がることはない」と書かれています。
「みんなが持っているのでほしい」と子どもに言われたら、買ってあげていいと、私は思います。
なぜなら、子どもにとって「みんなと同じ!」ということには大きな意味があり、そして大切なことでもあるからです。
ひとりだけみんなと違う、というのはさみしいものです。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」95~96ページより
家では、まだお友達がゲーム持ってるから自分も欲しい、と言ってきたことはありませんが、親である私や夫が持っているスマホやタブレットで遊びたがることが多く、子ども用のタブレットを購入し、ある程度自由に使わせています。
みんな(家族)と一緒は、やっぱり嬉しいんですね。
もう少し大きくなったら、お友達と一緒のものを欲しがるようになると思うのですが、変に「よそはよそ、うちはうち!」と拒否しないで、話を聞いてあげようと思います。
「今は出来ない。でももうすぐできる」という気持ち
子どもが遊んでいるときは、もう少しでできそう、と思っているそうです。
子どもは「まだできないけれど、もうすぐできそう!」と毎日挑戦している、ってすごいですよね。
子どもが自分から歩きだすのも、おしゃべりを始めるのも、毎日挑戦をし続けているからという話が記載されていました。
どんなに小さな「できた!」でも子どもといっしょに喜んであげてください。
「出来ないからママ助けて!」と言われたら、子どもの心が満たされるまで手伝ってあげていいのです。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」45ページより
そうやって子どもは「できた!」喜びでまた挑戦をして、成長をしていくのですね。
「まだできないの?」「もっと早く」「もっと上手に」というと、自尊心が傷ついて挑戦できなくなってしまうそうなので、子どもの気持ちを尊重するのが大切だと思いました。
まとめ
ほんの一部の紹介のつもりでしたが、ずいぶん長くなってしまいました。
具体的な解説が多く、自分の育児に取り入れやすい内容でした。
大切なのは子どものペースに合わせること、子どもの自尊心を尊重すること、というのがこの本のテーマであったと思います。
成長には順番があるし、
いつできるようになるかは
子ども自身が決めるものです。
親が決めるものではありません。
佐々木正美著「子育てでいちばん大切なこと」25ページより
「この子はこの子でいいんだ」「この子のペースでやっていこう」と思える1冊です。
わかりやすく、子育てを頑張ろうと思える本だったので、佐々木正美先生の本はまた読んでみたいと思います。